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​タダタケとは

​「タダタケ」こと​多田武彦(1930年‐2017年)は日本の作曲家で、男声合唱を中心として113もの組曲を世に生み出しており、そのうち男声合唱組曲は95となっています。

 ほとんどの作品はア・カペラ(無伴奏)によるもので、その作風は叙情性が高く、メロディーラインの美しさや親しみやすい和声、主に日本の近代詩をテクストとしその詩に寄り添うような表現が特徴となっています。

 これらの要素をつむぎ上げて繰り出される男声四部合唱のハーモニーはいわゆる「タダタケ節(ぶし)」とよばれ、シンプルでありながらも日本の唱歌・四季のように奥行きが深いものとなっています。

 男声合唱に触れたものなら誰しもが一度は氏の作品に触れたことがあるといっても過言ではない程、日本の男声合唱界に大きな足跡を残した作曲家です。氏の没後も綺羅星の如く残された作品群は歌い手の心をがっちりとつかみ男声合唱の演奏会の重要なレパートリーとして歌い継がれています。

多田武彦組曲​作品リスト

 ※これ以外にも、単曲や自選集などもあります。

​譜面の特徴

​「タダタケ」こと​多田武彦の譜面は、メロディーラインの美しさや親しみやすい和声、主に日本の近代詩をテクストとしその詩に寄り添うような表現が特徴となっています。

そのため、譜面には次の図のような特徴があります。

それらを理解しながら音楽を作り上げることで、叙情性に富んだ「タダタケ節」の世界を誰でも楽しむことができます。もちろん、シンプルな中に奥深さを加えていくのは、歌い手一人ひとりの熱中と表現力にかかっています。

そこが「タダタケ」にハマるきっかけとなったという声は多くの団員が認めるところです。

多田武彦の譜面の特徴.jpg

 ※実際の曲ではなく、譜面の例です。

​特徴1 上段がテナー系、下段がベース系で書かれている

トップテナーとバリトンの符尾(全音符未満長さの音符につく縦の棒や旗のこと)は、常に上

向いています。セカンドテナーとベースの符尾は常に下を向いています。

また、8分音符の符尾は原則として連結されずに単独で書かれています。

そのため、一見ごちゃごちゃしているようにみえますが、テクストに寄り添った作曲家の思いがつまった譜面となっています。音符の旗の洪水がタダタケらしい譜面との声も聞かれます。

​特徴2 メロディーの受け渡しを意識するための補助線が引かれている 

この譜面の例では、♪きみの眼に~までがトップテナーがメロディーを歌っています。

次に♪ながれたなみだ~からバリトンにメロディーの受け渡しが行われるため、トップテナーの音符からバリトンの音符まで補助線が引かれることがあります。

こうして常にメロディー(旋律)を意識しながら全パートが歌うようになっています。

​特徴3 男声合唱らしい重厚な和音が使用されている 

曲の決め所では、男声合唱らしい重厚な和音で終わることが印象深いです。

そのため、四声のバランスや音色などを意識しつつがっつりハモる楽しさを味わうことができます。

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